新型コロナウイルスと歯科治療
東京都練馬区(江古田駅)にある、おざわクリニック(歯科・口腔外科、耳鼻咽喉科)です
歯科医療行為は不用不急ではないし、感染リスクも高くない
歯科医療は不要不急ではない
歯科医療は不要不急ではありません。
急患でお痛みの患者さんの治療はもちろん、根管治療の途中で 途中放置すると根管への感染リスクが高くなり治 らないばかりか、中断期間が長くなると腫れてきますし、その歯を失うリスクも高くなります。
歯を削って型をとってから歯に装着するまで期間があいてしまうと噛み合わせがあわなくなりますし、歯の移動も起こります。
せっかく作ったクラウンやインレーが使えなくなって しまいます。再治療となります。
歯列矯正でも、毎月のチェックをしておかなければ狙い通りの結果が得られなくなりますし、治療期間がさらに伸びることになり、大きなリスクがでてきます。
このように、歯科医療は歯科医師が治療計画に基づいて、一定の期間を設定しながら治療を進めているわけで、決して不要不急ではありません。
歯科衛生士の処置も同様に不要不急ではありません
口腔内の歯垢・歯石除去、口腔衛生指導は、重症化予防のための医学管理です。糖尿病や高血圧の医学管理と同じで、 放置しておくと糖尿病、心・血管系疾患などを発症する危険があるから定期的に予防管理しているのです。
万が一どこかで新型コロナウィルスに感染した場合
ウィルスは鼻・咽腔、肺(呼吸器)に感染します
ウィルスでダメージを受けた肺、全身の免疫が落ちてきたところに口腔内の細菌が肺に入って細菌性の肺炎を起こし、全身の血液中に細菌が流れ込んで敗血症を起こして重篤な状態になります。
したがって、常に口腔ケアをして口腔内の衛生状態は良好にしておく必要があるのです。
歯科医院の患者さんへの感染リスクは高くない
「歯科医院に行くと感染リスクが高いから行かない方がよい」という意見は、口を 開けて治療するからということのようです。しかし、歯科医療従事者から患者さんへ の感染リスクは低いと考えられます。
歯科医院では、新型コロナウイルスの感染拡大の有無に関わらず、以前から患者ご との器具の交換、滅菌、ディスポーザブルの器具の使用などを行っています。口腔外バ キュームでお口も周りの空気を吸引しています。
グローブも患者さん毎に交換し、マスク、ゴーグルを着用し て処置を行なっています。
問診をとるときも、多くの歯科医師はマスクを着用してお り、術者の唾液が患者の口腔内に飛ぶ可能性は少ないと考えられます。
待合室が混雑している場合は患者同士の感染リスクがあるという意見もあります。 確かに、内科、その他の医科、総合病院などでは、発熱し感染リスクの高い患者が来院します。そして、どこの医院も混雑しており、待合室で 30 分ぐらい待たされることが多いようです。なかには 1 時間待ち以上になることもあり、待合室での患者同士の感染リスクが否定できな いと思います。
しかし、歯科医院はもともと体調が悪い患者さんが集まる医療機関ではありません。 むしろ、ほとん どの患者さんは、体調が悪いときは無理をせず「今日は体調が悪いから」と予約変更 の連絡をされます。発熱していたり体がだるく不調だったりするときに、歯科治療を 受けたいと考える人が少ないのは理解できるでしょう。
さらに、歯科医院は予 約制ですので内科、他の医科等のように待合室は混雑しません。この時期患者さんの数を減らして待合室での患者さん同士の接触を避けるようにしていますし、治療後の椅子やテーブル周りなどの消毒の時間を多く取っています。
また、 待合室では空間除菌器を稼働させたり、窓を開けたりしており密室状態ではありません。狭い待合室で大勢の患者が密集したり、密着して座ったりす る可能性は少ないのです。
患者さんからの感染確率も高くない
感染を受けるリスクが高いのは、来院される患者さんではなく、むしろ歯科医療従事者の方 です。それは患者さんの口腔内と距離が近く、患者の唾液や血液の飛沫を直接浴びたりするからです。
歯科医療従事者から患者さんへの感染リスクは少ないのです。
新型コロナウイルス感染症では、症状がでず感染に気づいていない患者が来院する可能性がありますが、歯科医院に来院する確率は少ないです。
日本のコロナ感染者数は約1万5千人です。仮にその 10 倍の潜在感染者が いると仮定しても 15万人になります。
一方、厚生労働省の患者調査 によれば、う蝕(むし歯)で受信する方は人口 10万対219人です。
これを当てはめると219×1.5=329人、コロナの感染、潜在患者を含めた数およそ329人が虫歯で歯科医院に来ることになります。
歯科医院は全国で約68000件ですので1医院あたり0.0048人の感染者が来ることになります。
一方、厚生労働省の調査(H.26)によると歯科を受診する年齢別患者数は45歳以上の方が約70%、65歳以上の方は41%です。
この年齢層の方達はコロナに罹患すると発熱したり咳をしたりするなど自覚症状がで る方が多いと考えられ、無理に歯科治療を受けようとせずに予約変更をするか、 来院しても受付で検温と問診をしたときに発見されて、お帰りいただいてしまうでし ょう。
つまり、15歳~44 歳までの自覚症状のない潜在患者が来院する確率は、さら に低いのです。
自覚症状が出にくい44歳以下の方が歯科に受診する確率は1医院あたり0.0048人のさらに3分の1で0.0016人、つまり、0.16%、歯科医院1000件のうち1.6件だけにコロナ感染者が1人来るということになります。
(すでにコロナの治療を受けている方、隔離されている方がいますのでその方達は歯科には来ませんのでさらに歯科に来る確率は少ない)
これを考えると、歯科医院での感染よりもむしろ通勤や買い物、仕事などでの感染確率の方が高いと考えられます。