サイナスリフト

上顎洞底挙上術(サイナスリフト)

上顎臼歯(奥歯)のすぐ上には上顎洞という副鼻腔の空洞があります

特にアジア系の日本人は頭蓋・顔面骨が欧米人のように長くないため上顎洞が近いのです
上顎の6番(6歳臼歯とも言います)の歯根の先端(歯根尖)は上顎洞すれすれか上顎洞内に入っているかのように見えます
このような上顎の臼歯(奥歯)をなんらかの原因で失うと当然のように口腔内に残存している歯を支えていた骨(歯槽突起あるいは歯槽骨)の厚みは僅かですぐ直上の上顎洞までの骨量は少なくなります
つまり、インプラントを入れる骨の量(骨の高さ)が不足していることがほとんどです
抜歯した後の残存骨量が1~5mmしかないこともざらです

そこで、インプラントを入れることができるように上顎洞内に骨(人工骨、自家骨など)を移植して骨を厚くすることを上顎洞底挙上術(サイナスリフト)と言います
実際には上顎洞底の上顎洞粘膜(かなり薄い鼻の粘膜上皮)を剥離、持ち上げて、骨とその持ち上げた粘膜の間のスペースに人工骨を入れます

6ヶ月から1年くらい待って移植した骨が硬くなったらインプラントを埋入します
あるいはサイナスリフトとインプラント埋入を同時にできることもあります
同時に行える条件としては少なくとも残存骨量が4~5mmあることです

上顎洞底挙上術(サイナスリフト)には二つの方法があります

側方アプローチと垂直アプローチです

側方アプローチ法は上顎洞前壁(側壁)の骨を削って(穴を開けて)上顎洞粘膜を剥離挙上する方法です
垂直アプローチ法は歯が元々あった歯槽堤(下の歯に向いて入る方)から上顎洞の方向に垂直に穴を開けてく方法です、ソケットリフト方とも呼ばれています

側方アプローチの利点・欠点

側方アプローチの最大の利点は直視下で上顎洞炎粘膜を剥離することができることです
挙上量も大きくできます
上顎洞粘膜が破れたかどうかの判断がつきやすいので破れた時の対処も行うこともできます
欠点は難しいことですかなり高度な外科的技術を必要とします、外科的侵襲も大きいです

垂直アプローチ(ソケットリフト)の利点・欠点

利点は外科的侵襲が少ないことです、手術時間も短くて済みます
また、手法が簡単と言われています
欠点は直視下(目で見て手術)での手術でないため(盲目的手術)手術が成功しているかどうかが判断しずらいことです
手術が成功しているかどうかとは、上顎洞粘膜が破れているかいないかということです
上顎洞粘膜が破れていると上顎洞に人工骨(補填材)が漏れ出してしまいます
粘膜が破れたかどうかの判断ができにくいのです(見えないため)
また、破れた場合の対処ができません(見えなくてしかも穴が小さいため)
利点に手法が簡単と書きましたが本当は難しいのです
ソケットリフトで粘膜が破れた場合、側方アプローチに切り替えて手術できないと対処できません
つまり、両方できないといけないのです
近年、日本全国でインプラントの失敗の上位に上顎洞炎関連のトラブルがあります
上顎インプラント後、あるいはサイナスリフト後の上顎洞炎(蓄膿症)です
高度な技術を必要とし副鼻腔病変や副鼻腔の解剖学的知識も必要とされます
さらに耳鼻咽喉科との医療連携も必要となります

6ヶ月から1年くらい待って移植した骨が硬くなったらインプラントを埋入します
あるいはサイナスリフトとインプラント埋入を同時にできることもあります
同時に行える条件としては少なくとも残存骨量が4~5mmあることです

最近の学会報告によると、日本全国のインプラントのトラブルの約4割(38.9%)が上顎洞(副鼻腔炎)関連のトラブルで、インプラントトラブルのトップを占めています(日本顎顔面インプラント学会;2017)。
サイナスリフト(上顎洞底挙上術)はとても高度な技術と経験を必要とする手術です。また、治療前の術前診断、特に副鼻腔の解剖学的診断、病的診断はとても重要です。耳鼻科との連携も必須です。手術を受ける患者さんもよく勉強してこの手術の特徴を理解しておくことが重要となります。

鼻・副鼻腔の構造は個人差が大きいです
鼻中隔が弯曲している方は非常に多く、副鼻腔の構造も異常な構造をしている方は非常に多いのです
鼻・副鼻腔の解剖構造の異常によって上顎洞の自然孔は容易に閉鎖されやすいのです
サイナスリフトなどの外科的侵襲を与えると鼻粘膜や副鼻腔粘膜は容易に浮腫みます。そのため手術後に副鼻腔炎(蓄膿症)を引き起こしやすいのです

この様な合併症を引き起こさない様にする為に術前の細かな審査をします
サイナスリフトの術前評価には上顎洞自然孔のチェックと鼻・副鼻腔の解剖構造のチェック、副鼻腔の病変チェックが必要となります
このためにはCTの撮影範囲を前頭蓋底が入るまで撮影することが重要となります

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診療担当医元国際医療
福祉大学教授
元国際医療
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